今回お話を伺ったのは、一橋大学社会学部の佐藤圭一先生です。

現在は、気候変動政策について、ネットワーク分析を使った比較研究などをされています。

2020年9月より一橋大学社会学部の講師も務められ、今年度の学部向け授業では「社会ネットワーク分析」を担当されています。

ご出身も一橋大学である佐藤先生。

学生時代のご経験や、研究者の道を選ばれた理由、現在の研究内容など、約1時間にわたりたくさんお話しを伺いました。

前編・後編に分けてお届けします。 まずは前編。佐藤先生の学生時代について伺いました。

1:一橋大学社会学部を志望された理由とは?

Q

佐藤先生は、一橋大学出身であると伺いました。なぜ、一橋大学を志望されたのでしょうか?

A

高校生の時、「社会学」を紹介する特集雑誌を読んだことがきっかけです。
その記事を読んで、「大学では社会学を学びたい」という思いが強くなりました。

そこで、社会学部が学べる国立大学を調べたところ、社会学部が独立してあるのは、日本で一橋だけだった。そのため、一橋大学を志すようになりました。

佐藤先生が当時読まれた特集雑誌です。↓
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2:佐藤先生の学部時代

高校生の時からすでに、社会学へ興味をお持ちだった佐藤先生。

大学時代は、どのような学生さんだったのでしょうか。

Q 

学部時代はどのように過ごされていましたか?

A 

当時力を入れていたことの1つは、ドイツ語の勉強ですね。

大学の他に、語学学校へ定期的に通っていました。

課外活動としては、吹奏楽のサークルに所属していました。

僕はクラリネットを担当していて、そこでの活動も頑張っていましたね。

Q 

学部時代に印象に残っている授業を教えてください。

A 

安川一先生の「社会心理学」の授業です。

日常の行動や人々の関係性を、深く洞察するところに惹かれました。

そして、とにかく先生のお話が面白く、社会心理学の奥の深さに引き込まれました。

特に、「役割」「アイデンティティ」ついての授業が印象的です。

また、佐藤文香先生のジェンダー論の授業も、印象に残っています。

普通の日常の中の関係性を、ジェンダーという観点を通してみると、

自分がこれまで気がつかなかった色々なことが見えてくる。そこが非常に面白かったです。

3:一橋大学院への進学

Q 

学部卒業後は、修士課程へお進みになりました。

大学院に進学された理由を教えていただけますか?

A

学部3年生の秋学期から、ドイツのマンハイム大学に留学していました。

帰国したのは4年生のときです。

周囲が就活を進める中、自分には「就職」という道が、いまひとつイメージできなかったんです。

一般企業へ就職するよりも、大学院で社会学をさらに学びたいという気持ちがありました。

Q

大学院では、どのような研究をされていたのでしょうか?

A「気候変動政策が日本においてどのように形成されてきたか」について研究していました。

Q 

学部時代も、気候変動政策過程について研究されていたのですか?

A 

実は、学部時代の卒論テーマは、「日本における西洋音楽の浸透」についてでした。

一見全く違うテーマにみえますよね。

ただ、今振り返れば、両者には共通するテーマがあると思っています。

それは、「新しい発想や文化が入ってきた際に、社会がどのように変容するのか」という問いです。

もう少し詳しく言うと、「新しい技術やシステムがある社会に入った際、人々の行動やメンタリティ、制度形成にどのように影響するのか」について、興味があったんですね。

吹奏楽をやっていたこともあり、音楽をテーマにしましたが、問いの根本的な部分は、

大学院の研究にもつながっているといえます。

4:豊富な留学経験

Q 

佐藤先生は、学生時代に多く留学を経験されています。
ドイツのマンハイム大学以外には、どちらに行かれたのでしょうか?

A

博士課程3年生の時に、奨学プログラムでミネソタ大学(アメリカ)へ行きました。

その後、「ポスドク」(ポストドクターの略。博士研究員)として、コンスタンツ大学(ドイツ)やヘルシンキ大学(フィンランド)などで、研究していました。

Q 

様々な国への留学経験をお持ちなのですね。

もともと、海外志向は強かったのでしょうか?

A 

確かに、「どこかに行ってみたい」という思いはずっとありました。

実は、僕は小平出身なんです。そして、都立立川高校に通っていました。そして、大学は一橋。

つまり、幼少期から大学生まで、ずっと国立周辺で過ごしているんですよ。

そのため、「外の世界を見てみたい」という願望はずっとありました。

なので、学部時代に初めて日本を出てドイツへ留学したことは、人生においてとても大きな経験だったと思います。

博士課程でも、海外の方とのご縁で、海外での研究を続けていました。

4:研究者の道へ

Q

大学院卒業後、博士課程へお進みになりました。

この頃から、研究者としての道を意識されていたのでしょうか。

A

そうですね。

もちろん、一般的な民間就活をする道もあったのですが、「特定の企業に入りたい」という気持ちを自分の中に見いだすことができなかったです。

企業への就職よりも、研究をすることの方に関心がありました。

それに、大学院で研究をする中で、「自分は学問研究が周囲よりも得意だ」と感じることが多かった。

これも、研究の道を選んだ理由の1つです。

Q

大学以前も、「勉強」は得意分野だったのですか?

A

実は、そういう訳ではなかったです。

高校時代までの勉強は、いわゆる「平均」的な成績でした。

それが、大学の勉強、特に社会学系の授業では、周囲よりも良い成績を取ることが出来たのです。

これは、自分の中でも意外な発見でしたし、ひとつの自信になっていたと思います。

Q

大学での勉強を通して、「ご自身が研究の世界に向いている」と思われたのですね。

ここで少し気になったのですが、大学での成績が良いからといって、必ずしも「研究者向き」では無いように思います。

先生からみて、「研究者向き」の学生には、どのような特徴がありますか?

A

そうですね。

まず、研究者よりも企業の方が向いている人の例を挙げましょう。

ある授業でレポート課題が出されたとします。

この際、加点ポイントを意識して計画的にレポートを書き、1週間前までに提出できる人がいますよね。いわゆる、手際の良いタイプです。これは、企業向きですね。

Q

なるほど。では、研究者向きの学生はどうでしょうか?

A

研究者に向く学生は、まず1週間前までにレポートを書き上げます。

ここまでは、先ほどの学生と同じですね。

でも、「何となく納得がいかない。どうにか改善できないか」というモヤモヤした気持ちを抱えて、「提出」のボタンは押せないでいる。

そして、期限3日前くらいになって、結局初めから書き直してしまう。

こういうタイプが、研究者に向いている学生です。

時間的効率はとても悪いですよね。

ただ、「どうにかして発想を広げられないか」と追究する姿勢がある。

これは、研究者に絶対に必要な素質だと思うのです。

Q

今のお話、大変納得しました。

研究者には、レポートの提出だけで満足しない「探究心」が必要なのですね。


前編はここまでです。

佐藤先生の学生時代について、たくさんお話を伺うことができました。

とくに、先生が研究者の道を志された経緯については、気になっていた学生も多いのではないでしょうか。

現在、「院進をするか迷っている」「研究者への道を考えている」という学生にとって、同じ一橋大学出身の佐藤先生のお話は、とても貴重だと思います。

後編では、先生の現在の研究内容や、一橋生におすすめの本、国立のおすすめランチを伺います。お楽しみに!

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