今回お話を伺ったのは、経済学部3年生のEmujinさん(以下エムジンさん)。

高校生までを母国であるモンゴルの日本学校で過ごしたのち、国費留学生として一橋大学に進学。インタビュー中も穏やかな雰囲気のエムジンさんですが、そんな優しい性格が日本の文化をより深く知っていくきっかけになったそうです。

取材では、日本についての知識が深いエムジンさんがモンゴルで日本学校に通うことを決めた経緯と、日本の文化に馴染んでいく際に感じたことについて迫りました。

国費留学生として日本へ

札場)本日はお時間をいただきまして。ありがとうございます。

エムジンさん)はい、ありがとうございます。

札場)早速ではあるのですが、エムジンさんの来歴を伺えますでしょうか?

エムジンさん)えっとー。文部科学省の奨学金って知ってますか? 留学生には、1年だけ留学する交換留学生と、4年間私費で留学する私費留学生、日本のお金で留学する国費留学生があるんです。国費の方が少ないかな?一橋は1年で8人くらい入ってくるんです。

札場)狭き門ですね。

エムジンさん)この二つのプロセスがすごく違っていて、私費だったら一橋の留学生入試を受けて一橋に認められたら入学できるっていう感じなんです。でも国費留学生は、各国の大使館が私たちを選別して、それで集まった情報をさらに日本の政府が選別して、合格者が決まるんです。文系は60人くらいかな。

札場)自分から応募して選考を待つ感じなんですね。

エムジンさん)そうです。それで、合格者は外大(東京外国語大学)で日本語とか日本史とか日本事情みたいな科目を1年間学んで、その内容の試験で高い成績をとった人が、日本の国立の大学の中で好きなところを選んでいくっていうかたちなんです。ちょっと複雑ですよね。

札場)いえいえ。なるほど。外大で1年間学ぶというのは知りませんでした。

日本に来ることが目的に

札場)それでは、日本に留学しようと思った理由などはありますか?

エムジンさん)この質問ってよく聞かれるんですけど、どういう風な答えを求められていますかね?笑

札場)もう、ありのままを教えてください笑

エムジンさん)わかりました笑 日本に留学しようと思った理由は、大きく分けて2つあります。まず、アニメがすごい好きだったんです。それはもう狂ったように。アニメを見たいけど勉強もしなくちゃいけない時は、どっちの時間もとって睡眠時間を削るくらいで、睡眠時間が2時間しかなかった時期もありました笑

札場)それは相当ですね笑 でもわかります。

エムジンさん)2つ目は、12歳から18歳まで通っていた高校で、日本について学んでいたことです。この学校は、日本学校みたいなもので、日本語を教えて日本の文化を取り入れる学校でした。その学校の先生たちから、「これしないと日本留学いけないよ」とか「日本留学に言った先輩たちはこんな風に暮らしてるよ」みたいなことを授業中でも話してくれたんです。私の周りは全員「日本に留学しないと生きていけない」って必死になっていたんですよね。一種の洗脳みたいでしたね。

札場)そうだったんですね。その日本学校に入ろうと思ったきっかけなどはありますか?

エムジンさん)これは、この学校が良い学校だったので、親が決めたという感じです。

札場)あ、日本文化がどうとかではなく、学力とかが良い学校だったからっていう?

エムジンさん)そうですそうです。入る段階で日本について知っておく必要とかもありませんでしたし、良い人になるために入ったっていう感じですね。

札場)なるほど…。 では、日本に留学することが当たり前みたいな感じだったんですかね?

エムジンさん)そうなんです。日本に行くことで頭がいっぱいになってしまって。だから、日本に来てから、あれ私なんで日本きたかったんだろうって思っちゃって。同級生に聞いても全員そうなったらしいです。

札場)すっごいわかります。日本でも、大学に行くことが目的になって同じ思いをしてる人がたくさんいると思います。

エムジンさん)そうなんですか!あと、私が一橋に来たのも、自分が取れた成績で手が出せるレベルで丁度よかったからっていう理由で、特に考えはなかったんですよね。

札場)その時その時で自分が届く一番いいところを選んできた感じですかね。

日本人と友達以上になりたい

札場)逆に、日本のちょっと残念だったところとかありますか?

エムジンさん)そうですね。悪口じゃないことを前提に聞いてほしいんですけど、日本人の性格が想像していたものと違い、ショックを受けました。

札場)というと?

エムジンさん)日本の人って、自分の周りに壁を作っちゃうというか、全然本音で話し合っていないし、それをお互いわかっているように見えるんですよね。なのに、それに対してお互い不満を感じていないっていうか。これすごくおかしいと思うんですよね。もしモンゴルでそんなことがあったら、「あんた何してるのおかしいよ」みたいなことを言われると思うんですけど、明らかに本音じゃないのに何も言わない。

札場)ドライで他人に興味が薄いように見えるんですかね。

エムジンさん)内向的っていうか、遠慮がちっていうか。それに悩む外国人は結構多いんじゃないかな。私の高専にいった友達とかは、完全に日本人と打ち解けなくて、完全に一人ぼっちって言っていました。人付き合いの仕方が違っているっていう感じですね。

札場)そうだったんですね…。ありがとうございます。では、逆に、日本のいいところなどはありましたか?

エムジンさん)いっぱいありますよ。例えば、モンゴル人は、日本に来ると湿度が高くてもう肌がピカピカになるんですよ。あとは、道路がきちんと舗装されているのも大きいですね。自転車で通学できるのはありがたいです。他にも、治安がとってもいいですし、店員さんの態度とかもとっても丁寧です。私モンゴルにいたときは、1年以上携帯使えたことないんですよ笑

札場)え!?どうしてですか?

エムジンさん)盗まれちゃうんですよ。バッグの中に入れていても、バッグを開けて盗んでくるんですよね。でも、日本に来てから、同じスマホを使い続けて三年目になります。素晴らしいです。

札場)そうなんですね。それは日本の治安の良さを実感しますね。

エムジンさん)そう。治安も接客もいいので、とても暮らしやすいです。

留学生は部活に入るべし

札場)今、エムジンさんが取り組んでいることなどはありますか?

エムジンさん)そうですね。ヨット部で副将をやっています。あと、バイトの代わりに、部活のOGの紹介でインターンをやってます。

札場)なるほど。活動頻度はどれくらいなんですか?

エムジンさん)土日2日です。江の島でやっています。

札場)江の島!それは良いですね。楽しそうです。

エムジンさん)でも、部活には入ろうと思っていたわけではなかったんです。

札場)そうだったんですか?入るきっかけとか聞いてもいいですかね?

エムジンさん)それが、新歓に行ってみたらちょっと事故っちゃったんですよ。終わったときに、先輩に「入部しますか?」聞かれたんです。だけど、私それがわからなくて、「楽しかったか」って聞いてると思ってしまって。うんって言っちゃったんですよ。

札場)あらら。それは災難でしたね。

エムジンさん)はい。その後、訂正しようと思ったんですけど、その日来た3人に聞いて3人が入るって言ったんですね。そこで先輩すごい喜んでいて、言いづらくなっちゃって。やってみっかーって入っちゃったんです。

札場)そうなんですか!優しさですね。

エムジンさん)でも、私の日本語が上達したのも、日本についていろいろ知ったのも、部活のおかげなんですよ。

札場)ほう。

エムジンさん)部活で、合宿所っていうか、一軒家を持っていて、それで土日とか長期休みに一緒に住むんですけど、一緒に住んでこそわかることが結構あって。例えば、生ごみをとるネットあるじゃないですか。その存在をそこで初めて知ったみたいな。

札場)なるほど。生活の常識は生活しないとわかりませんもんね。

エムジンさん)そうです。誰も言ってくれないし。そもそも、日本語もいっぱい話して上達しましたし。合宿所は、強制ではないんですけど、部員の人がほぼ全員泊まるところで、そこで交流して多くのものを手に入れられたと思うんですよね。

札場)確かに。サークルとか部活がメインのコミュニティになることが多いですよね。

エムジンさん)はい。でも、それって日本人はある程度常識として持っていませんか?他人と交流する機会は部活かサークルがメインっていう。でも、留学生はそのことを知らないんと思うんです。そのことは、留学生に伝えたいです。部活とかサークルに入ったら、皆の求めている日本人との交流の機会がそこで手に入ると思うんです。

札場)さっきと同じで、誰も言わないですもんね。

エムジンさん)そうなんです。私の周りでも、部活に入ってる人、1人も知らないんですよ。入ってみないから、交流できなくて、深い関係になれないっていう。一歩踏み出して、部活やサークルに入ってみろって言いたいです。それで、サークルだったら幽霊になっちゃうかもしれないので、責任感や日本の社会、文化を感じるという面や毎日出席しないといけないっていうところで、部活に入ってみたら、結構いい経験が得られると思うんですよね。

札場)留学生ということでハードルは高いと思うんですけど、そこで一歩踏み出すことで求めていたものが手に入るっていうことですね。

エムジンさん)はい。部活に入らなかったら、日本人とこんなに交流することもなかったと思いますし、インターンに参加して学生以外と話すことも、他大学の人と話すこともなかったと思います。

札場)それも、一歩こらえて部活に入った恩恵ということでしょうか。こうしてお話を伺えたのも、その一端だと思えますね。

いかがだったでしょうか。幼いころから日本文化に触れてきたエムジンさんでも感じる、日本人の他者との距離感の独特さ、逆に、日本が誇れる設備や業務の質の高さ。そして、エムジンさんからの留学生へのメッセージを受け取ることができたと思います。

日本から離れた視点で日本を見つめなおすことで、今まで見つけられなかったことや気を付けるべきことが発見できてきますね。

私自身、一橋大学に留学してきてくれる留学生に対して、積極的に交流していこうと思える良い機会になったかなと感じています。

読者の皆さんが、留学生とつながるきっかけになれたなら幸いです。

(以上)

この記事を書いた人を知る

札場大翔

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