こんにちは。今回取材したのは、現在アメリカはワシントン州のシアトルにあるワシントン大学に留学中、社会学部3年生の松下倫子(まつしたりんこ)さん。交換留学とは違う、IBP留学の制度を用いて渡米した彼女に、留学の制度や留学中の体験、アメリカでの就職活動について貴重なお話を伺いました。 なお、今回の記事は前半と後半に分かれています。前半では主に留学について、後半では主に就職活動についての内容になっております。それでは、お楽しみください。

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札場)本日はよろしくお願いいたします。

松下)はい。よろしくお願いします。

札場)そちらは今、夜ですかね?

松下)そうですね。17時で、もうすぐ夜です。

札場)ご飯前の時間にありがとうございます。本日は、松下さんの留学前と現在についてお伺いしたいと思います。

松下)はい、よろしくおねがいします。

IBP留学の制度を使って

札場)では最初に、留学に用いた制度についてです。どのような制度を利用して留学をされているのでしょうか?

松下)はい。私は、IBP留学の制度を利用しています。

札場)IBP留学ですか…。不勉強で申し訳ないのですが、IBP留学についてあまり存じ上げず…。ご説明いただいてもよろしいでしょうか?

松下)もちろんです。IBP留学は、アメリカで一年間就労ができる資格、OPT(学生ビザでの就労が可能になる資格)が取得できるコースに9か月間通い、3か月間企業でインターンシップをするプログラムが設定された留学になります。インスタでよく流れてきますかね。これに授業料全額免除の制度に合格しまして、現在私費で3月から留学しています。

札場)なるほど。提供元は留学先の大学になるんですかね。

松下)いえ。日本の会社が提供しているコースになります。私の場合は、アメリカの大学が開講しているプログラムへの留学を日本の企業の提供の下で行うといった形ですね。基本的には、学生ビザを取得して留学するものなんですけど、それだとアルバイト含めた労働ができないんですね。ですので、このコースでOPTを取ってインターンに参加しようと思っています。

札場)ありがとうございます。少し特殊な内容なんですね。

アウトプットに重きを置いた授業

札場)続きまして、留学先の大学についてお伺いいたします。現在はどちらの大学に留学されているのでしょうか?

松下)はい。私は現在、ワシントン大学のGlobal Business Certificate Programというコースに通っています。

札場)なるほど。詳しくお話しいただいてもよろしいでしょうか。

松下)はい。ワシントン州のシアトルっていう一番有名な所にある大学になります。在籍しているGlobal Certificate Business Programなのですが、ここは留学生向けのProgramになっていまして、半分以上が社会人経験のある人達で、アメリカでの就労を目指している人が多いことが特徴になっています。

札場)やはり学歴より就職を目的とした留学という色が強いのですね。国籍などはいかがですか。

松下)そうですね。国籍は様々ですが、アジアが多いです。日本、韓国、中国、タイ、メキシコ、ロシア、カナダ、ブラジル…、様々な国籍の方がいます。

札場)やはり流石アメリカですね。授業の内容はどのようなものでしょう。

松下)グローバルビジネス基礎、マーケティング、PM(プロジェクトマネジメント)の3つの単元になります。アウトプットが重視されていることが特徴で、チームワークとプレゼンテーションを中心にクラスが設計されていました。

札場)日本とは大きく異なりますね。松下さんからみて、日本とアメリカどちらの授業の方が肌に合っていると感じますか。

松下)そうですね…。私はアメリカの方が合っていると感じます。アウトプットを前提にした設計の方が、アカデミックな知識や授業内容が自分で使える知識に変換されていくのを感じます。

価値観を見つめなおすために

札場)続いて、留学理由ということで、お話しいただきたいと思います。

松下)はい。私が留学に来た理由は大きく3つあります。
   1つ目が、学生でしかできない経験をしたかったというものです。やはり、どこかの国にふらっと行って、一年間住むというのは社会人になると勇気がないとなかなかできないものかなと思いまして。
   2つ目が、就職前に一年間アメリカに行くことで、自分のキャリアへの選択肢を広げたかったというものです。留学には就活後に行くことも考えたんですけど、やはり就活前に留学に行くことで、自分のキャリアに対する考え方や選択肢を広げたいと思い、このタイミングにしました。
   価値観の面で、海外で実際に働いてみて、「海外にもっと行ってみたいな」「移住したいな」と思ったら、キャリアの積み方とかも変わってくると思うんです。だから、価値観の面でも、自分が将来どうしたいかを考えたかったのもあって留学を決めました。あと、スキルの面で、もともと外資系企業への就職を考えていたんですけど、全く英語が喋れなかったので、ビジネスでも通用する英語力やアメリカでの就労経験の獲得を目指していたっていうところもあります。

札場)なるほど。

松下)最後が、自分の所属コミュニティに正規や交換留学をしている人が多かったというものです。所属していたコミュニティの人が基本的に留学していたり、正規で留学している友達もいたりして、留学というものが非常に身近にあったのも、留学をすっと選べた理由になると思います。

札場)留学に対する抵抗が少なかったんですね。ありがとうございます。
   留学自体はいつ頃から考えていたのでしょうか。

松下)留学自体は1年生の冬から考え始めました。これには少し理由があって、1年の冬に交換留学について調べてみたんですね。そしたらそこで初めて、英語圏の国に留学するためには高いGPAと語学力が必要になることに気付いて、早々に諦めてしまいました。今思えば、もう少し留学に行った人に話を聞いたり、学内の留学相談室に行ったりして、情報収集をしてから意思決定をしてもよかったのではないかと思っています。
   じゃあどうするかって時に、この奨学金を見つけて、応募したというのが理由になります。かっこいい理由じゃないんですよね笑

札場)いえいえ。運命かもしれませんよ笑
   それに、諦めずにその奨学金を探し出した所がかっこいいと思います。

興味と価値観

札場)それでは、留学生活について、勉強内容と課外活動の2側面からお伺いさせていただきます。

松下)はい。そのことなんですけど、現在7か月目の留学生活で、3月から9月の前期と9月から現在の後期で暮らし方がガラッと変わったので、そこも分けてお話しさせていただきます。

札場)わかりました。ざっくりとどのような変化があったのでしょうか。

松下)そうですね。前期は交流や価値観を広げる活動が中心で、後期は今後のキャリアに向けた実用的な活動や自分の心境の変化が中心になります。

札場)なるほど。では、前期の内容からよろしくお願いします。

松下)はい。まず、前期をさらうと英語力の向上、交流の拡大、ボランティアが大きなテーマになっているかなと思います。勉強はそうですね、マーケティングプランを九週間で策定したのが思い出に残っています。課外活動としては、女性用のホームレス施設やホームレス支援団体でのボランティアに毎週参加していました。学内では、多くのMeetupに参加して、Amazonやマイクロソフトなど、テック産業の社会人と交流をしていました。こんな風に、自分の英語力を上げる、色んな人と交流する、自分の興味のあるボランティアをやってみるっていうのが私の前期の過ごし方だったかなと思います。

札場)土台を作っていく感じがして良いですね。マーケティングプランの授業はどれくらいの頻度であったのですか?

松下)これは毎日ありましたね。時間は短いのでそこまで負担にはならなかったんですけど、毎週プレゼンがあって、大変でした。プロダクトを一つ選んで、他国に売る販売計画を策定しました。私はフィットネスバイクをフランスに輸出することにしましたね。

札場)ありがとうございます。女性用ホームレス施設について詳しく伺ってもいいですか?

松下)はい。アメリカの大きな社会問題として、ホームレスが多いことがあげられるんですね。格差が大きいっていうのもありますし、コロナ以降ホームレスが急増しているんです。シアトルもその例にもれず、非常にホームレスが多く、こういう施設が多くなってくるんですね。やはり日本ではなかなか見ない光景で、元々格差問題に興味があったのもあって、ボランティアに参加していました。

札場)僕もロサンゼルスに行ったときにホームレスの多さに衝撃を受けたので、共感する部分が多いです。話は大きく変わるのですが、MeetupはOB訪問のようなものなのでしょうか。

松下)OB訪問のようなキャリアを目的としたものとは違いますね。共通の関心を持つ人たちが集まるイベントが多く開催されていて、例えば散歩でもいいし、パーティーしようとか、お茶が好きな人で集まろうとか、そういうものがMeetupになります。

札場)学生社会人関係なく集まる同好会みたいなものですかね?

松下)そうですね。サークルとかに近いかもしれません。いろんな人に会えます。

札場)そして、友達と旅行に行かれたんですね。

松下)そうですね。現地の友達と旅行に行きました。

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 いかがでしたでしょうか。以上が前編になります。留学の制度や松下さんの留学目的、活動内容など、興味深いものが沢山ありましたね。この記事が、皆さんの留学への興味、関心の向上に繋がれば幸いです。

 次回は松下さんの後期、様々な人と過ごす中で大きく変化した価値観とアメリカでの就職活動についての内容です。お見逃しなく!

後編はこちら → 「全瞬間が学び(後編)」

この記事を書いた人を知る

札場大翔

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